JICS2014レポート(4) 1/15前編

ソーシャルメディア/モバイルとアイデンティティ

  • 寺田さん @ オプト
    • オプト: 広告代理店
    • モバイルコンテンツフォーラム: 業界団体
  • ソーシャルメディアとモバイルが変えたもの
    • 購売行動の変化: ソーシャルでAIDMAがAISASになった
    • AIDMA: attention, interest, desire, memory, action
    • → AISAS: attention, interest, search, action, share
    • 検索するときは価値の比較、口コミのチェックもする
    • 共有される: 製品のいいところ、悪いところなど口コミ情報
    • ZMOT: 店舗に行く前に意志決定がされてしまっている
      • zero moment of truth
      • first moment of truth → 店舗に行くこと
    • showrooming: 店舗で見てネットで買う
    • O2O: online to offline、クーポンや位置情報から店舗に誘導
  • オムニチャネルという考え方
    • 顧客接点が増えてくる → 個々の顧客の行動を把握する必要
      • シングルチャネル: 単一接点
      • マルチチャネル: 店舗、ネット、カタログが分離されている
      • クロスチャネル: 一元化される
      • オムニチャネル: シームレスに。チャネル横断の顧客管理
  • 3つのLife: Real Life, WEB Life, Social Networking Life
    • 行動の領域別にモデル化
      • SNS上とリアルでの行動に違いがありそうだ
    • ユーザーの識別
      • Real: サービス毎の会員ID → ポイント交換、クレジットカード
      • WEB: クッキー → クッキー連携、アドネットワーク
      • SNS: OpenID, SocialID → ソーシャル連携
    • Life間連携
      • IDとクッキーのひもづけ
        • CCCのT-ポイントカードとクッキーのひもづけ: 1千万人超
      • Real会員とSNS IDのひもづけ
        • 同意を取らないといけないので難しい
        • SNS側は同意済でもリアル側で情報公開などの同意を取っていることはほとんどない
    • Do Not Trackの影響
      • EUのクッキー法
  • モバイルファーストの台頭
  • ソーシャルコネクト
    • SNSのIDを中心としていろいろ連携(API利用)
  • 各所に散在する利用者情報
    • サーバーがあちこちに
    • 端末内にも情報が
    • 自分自信が適正に扱っているだけではすまない
      • 連携先が適正に扱っているかも把握
  • パーソナルデータ利活用の原則
  • Privacy by Design
    • 自社もだが、ID連携先が問題: 契約だけ良ければいいのか

「デジタルマーケティングアイデンティティ

  • 平川さん @ 電通
  • 変化するマーケティング環境への対応
    • SNS + スマホビッグデータ
    • 消費行動の意志決定の変化
    • 20世紀モデル: 口コミ(記録に残らない)を情報流通サービスがフィルタ
    • ネット登場: 検索で必要な情報を発見
    • ソーシャル時代: 情報の膨大化
  • 購入プロセスのシームレス化
  • オムニチャネル化
  • O2Oの流れ
    • 売店送客モデル
    • これまでは集客は流通にまかせていい製品を作っていればよかった
    • アプローチした顧客の情報(営業マンが取ってくる)は、楽天IDなどから取ったものとは扱いが違う
  • IDデータマネジメント
    • 情報提供の入口を消費者がベネフィットを持って同意するのが原則
      • デフォルトで取るのはもはやあぶない
    • マスセグメントとして処理した上で、顧客にとってパーソナルに見えるようにメッセージを工夫。本当の意味でのone-to-oneではない。タイミングが重要
      • メールアドレスは利用
  • デジタルマーケティングの運用フロー
    • マスセグメントとして統計知を得る → セル分割の更新
  • ビッグデータ×アイデンティティ
    • 電通: 「ヒト」の動きを見てきた
    • メーカー: 「モノ」の動きを扱ってきた
    • 「と」でカンタンにつながるものではない
    • 丁寧な情報入手、顧客主導の情報開示を入れていく
  • 具体的にはどんなデータが
    • マーケティング上はIDは必要なく属性データがあればいい
    • 購売行動に行く手前の行動をモデル化できればいい
    • アノニマスな個」の集団を集合として分析できればいい
      • 商品別に集合が異なる
  • ビッグデータ時代のマーケティング分析
  • セグメントオファーとフィードバック
    • タイミングが重要
    • 「ジオフェンス送信」時間と位置、顧客がアクセスしやすい「今」のタイミングで送ると購入率が3倍になる → スパムメールが減る
    • サーバーサイドでセグメントモデル構築 → クラスター別のオファーを端末に送信
      • 端末でタイミングと位置を見て表示
      • クーポンを「使った」タイミングからフィードバック
      • 個人情報は端末内にあるが、コンバージョンレートに変換した上で入手したい
      • 高額商品は人間関係なので業務インターフェースとしてセキュアに管理
  • ソーシャルCRM
    • 優良顧客のお友達は優良な潜在顧客
    • インフルエンサーから同意を得てID化
    • 「いいね!」を集める時代の終焉
  • まとめ
    • アノニマスな個へのマスセグメントでのアプローチ
      • 最低限必要なログをいただく
    • 購売に向けてパーソナルアプローチを行うための顧客情報取得・活用
    • O2O: オンラインでの待ちぶせとは本質的に違う
    • サーバーサイドでセグメント化 → 端末サイドでのパーソナル化
      • 行動は端末内で使います、コンバージョン情報を送付しますという同意
    • 個から個への拡散アプローチ

ビッグデータとIdentifier(識別子)」

  • 佐藤一郎さん @ NII
    • 人のIDよりモノのIDで仕事をすることが多い
  • IDとは
    • identify document (身分証明書)
    • identity (個人特定、パーソナルデータ)
    • identifier
モノのID、特に商品のID
  • JANコード: バーコードになっている
    • 国番号、企業コード、アイテム番号、チェックディジット
    • 国際的なとり決め
    • 国番号(日本は49)より下は各国が決めてよい
    • 日本では企業コードより下は各企業が決めてよい
  • チェックディジット
    • JANコードは13桁だが、本当は12桁でよい
    • → バーコードという読み取りシステムを前提としたcheck digitも含まれている
    • → ID(識別子)は読み取り技術と独立とは限らない
  • 商品コードは世界共通
    • 各国によって使えるプリフィクス範囲が異なる
    • 先に手を挙げた国が広い空間を得ている
  • 商品バーコードが生まれた理由
    • 誰が発明したのかよくわからない状況
    • レジ待ちの時間短縮のため
      • 1970年代のアメリカ、巨大スーパーで普及
    • 各スーパー内で番号をつければ十分だった
      • → スーパーごとに番号をつけるのはムダ → メーカでつけるように → 標準化
  • IDと商品
    • レジ待ちを短くする → 商品DBは各スーパーで待っている
IDで見えてくること
  • POSシステムから見ると
    • IDのついた商品パッケージを買っているにすぎない
    • もっと言うとIDを買っているにすぎない
  • 商品コードは誰が管理するのか
  • POSが広く使われる時代
    • 商品IDのない商品は流通できない(事実上存在しないのと同じ)
    • 流通データを持っているのは小売 → 商品情報を登録してくれなければ売れない(存在しないのと同じ)
  • プライベートブランド商品とJANコード
  • 書籍には2つのバードコード
    • 上: ISBN
    • 下: 販売情報
      • 価格情報が入っている → 再販制度があるから
    • 一般的に返品可能な業種は在庫管理を含めIT化が遅れている
  • カフカ事件
    • 某出版社の文庫本で、相違な書籍に同じISBN番号をつけてしまった
    • 書店や図書館などは翻訳できない大事件
ビッグデータとID(識別子)
  • 商品でA/Bテストしたい
    • パッケージの絵が変わったくらいではJANコードは変えられない
    • JANコードではA/Bテストできない
    • IDは関心事によって付けられる
      • 商品の印刷デザインはJANコードの関心事ではない
      • IDを目的外に使おうとするといろいろ問題がおこる
  • IDとビッグデータ
    • コンピュータは現実世界を直接扱えない
      • IDをつけて、そのIDを扱う
    • 関心事に応じて対象にIDを付番するのが第一歩
  • モノのID
    • 自動車番号(ナンバープレート)
      • 設計の悪いIDの代表
      • 目視による識別性を重視
      • 桁数が少ない → 空間不足 → 拡張を重ねた → 読みにくい
    • 製品の製造番号
      • 個体識別は必要とは限らない(大根1本に1ID、など)
      • 品質管理が目的ならば生産日時とライン番号で十分
      • RFIDが普及しなかった最大の要因は需要がなかったこと
        • 大根1本1本のトレーサビリティーはそもそも必要ない
      • IDをつける人と管理するとが一致するとは限らない
    • 磁気カード
      • クレジットカード以外のものも統一されている
      • 磁気カードは医療にも使われている。クレジットカードを間違って通したときに問題が起きないように、同じID空間で識別できるように付番している
  • まとめ

「プライバシーとアイデンティティ

  • 崎村さん @ OIDF
プライバシーって何?
    • privacyとdata protectionの混乱
  • 語源からのアプローチ
    • private + -cy
    • privatus(ラテン語) 他から分離して、自身に帰属させた
      • publicus(公共の)、communis(共同体の)と対義
    • プライバシーがよくわからないのは、文化によって公共・共同体の考え方が違うから
  • 個人情報とプライバシーの混乱
    • 文献からのアプローチ
    • 「Right to be let alone」
    • 個人の不可侵の権利
  • プロッサーの4類型
  • レッシグのプライバシー定義論
  • 自分に属する情報は自分がどう使うか決めてよい〜情報流通の自由
    • 自己決定の権利
    • 自分が出したいところに出すのも権利 → identity連携
アイデンティティって何?
  • エンティティと属性
    • 属性(名前や行動履歴など)でエンティティを認識している
    • アイデンティティ := ある実体に関連した属性の集合
      • ISO 24760-1:2011 による定義
    • アイデンティティ = パーソナルデータの(部分)集合
  • 自己像(identity)
    • どの属性をどのコンテキストに見せるかを自己決定
    • 友達と上司とで見せる自己像を変えたい
    • コンテキストを越えて自己の望まない形で属性が出てしまうと「プライバシー侵害」
  • アイデンティティ連携
    • 属性の集合から、どの部分集合をサービスに提供するかを同意する
  • もう一つのポピュラーなモデル「バレたら炎上モデル」
    • ひそかに or だまして集めて勝手に使う
      • お客に正直なことを言ったら同意してもらえない
        • お客の利益にならないことをやろうとするから
      • 後から何に使うかわからない、後から同意をもらえない
  • 「ブレーキは速く走るためにある」
  • 米国「消費者プライバシー憲章」PIA
    • PIAの標準化作業中
  • プライバシートラストフレームワーク
    • ルールと強制手段
  • PTFの現状
    • ID trust framework
      • 属性の質品
    • privacy trust framework
      • パーソナルデータの扱い方
  • 明示的同意?
    • そもそも同意の向きが逆
    • 個人が企業に対してパーソナルデータ提供をライセンス、同意するのは企業の側、となるべきでは?
  • 個人によるプライバシー侵害
    • ケースとしては多いだろう
    • 見なかったことにするプライバシー(大人の対応)が重要になる
      • MAC Address, BT Address、取れてしまったとき、見なかったことにして捨てる
    • 個人をリスペクトせよ! そうすればそんなに大きな間違いはおきない